先日の投稿で上下ボタンが予想以上に種類豊富と書きました。今回は一体どのようなものがあるかをおおまかに分類してみます。
今回はこのサイトでおもに扱っている、エレベーターホールで上か下かを選ぶタイプ〈上下二択式〉に絞って説明します。オフィスビルで見かけるような行先階を直接指定するタイプについては別の機会に。
さっそくエレボタの種類を分けてみます。ツリー構造にするとこんな感じ。
分類軸はおおまかに〈上下の表示方法〉〈ボタンの形〉〈サインの形〉〈立体感〉とします。これだけでもかなり種類が増えますが、さらに〈ボタンの装飾〉〈ランプ(インタラクティブな要素)〉〈盤の装飾〉や、〈カラーリング〉が掛け合わされ膨大なレパートリーが生まれていきます。
さて、分類軸ごとに見ていきます。
上と下をどのように表しているか。文字どおりです。
系統は大きく3つ。
矢印や三角など上下を示すサインがボタンに書かれているタイプで、上下表示のなかでは圧倒的多数。漢字表記の上下ボタンや、ボタン形状そのものが三角や矢印の珍しいタイプも含まれます。
一瞬「どういうこと?」と思うかもしれませんが、見ればきっと腑に落ちるはず。
ボタンの装飾が三角フォルムになっていたり、ボタンの近くにUP/DOWNなどの文言や三角サインが添えてあるタイプです。
わりと凝った意匠のものが目立ち、建築空間全体やエレベーターホールのトーン&マナーにあわせてデザインされているものが多いように思います。
ボタンが縦に2つ並んでいるだけ。「上か下か選んでください」と、わざわざ案内の必要もないくらい上下二択式のエレボタが普及した証とも言えるでしょう。
商業施設やオフィスビルではよく見かけますが、駅の連絡口や公共施設などのさまざまな利用者が使うであろう場所ではあまり見かけません。
こちらもボタンの周りで上下表示するタイプ同様に、設置場所のトーン&マナーにあわせたデザインのものが目立ちます。
ボタン自体の形状はあまり種類は多くなく、ほとんどが丸か四角に分けられます。そこまで複雑な形も見かけません。
四角ボタンはやはり正方形がもっとも多く、たまに横長や縦長を見かけます。珍種でいうと平行四辺形のボタンがあります。
横幅が10cm級の超横長ボタンを見たことがありますが、どうも機能的な理由で設置されているように思いました。
というのが、設置場所は空港と駅の連絡口。どちらもエレベーター乗り場が幅広く、多方向からボタンを押す手が伸びてきそうなロケーションのエレボタです。
丸は正円以外は見たことがありません。いつか楕円形のボタンに出会えると嬉しい。
前述のとおりボタン自体が三角や矢印のタイプもあります。が、今やめったにお目にかかれないレアものです。
ちなみにこの三角ボタンは1960年頃の建築では一般的だったようで、いつぞや見た大阪万博(1964年開催)のパビリオンを再現した展示では赤い三角ボタンが使われていたのを憶えています。しかし近年の建築ではめったにお目にかかれません。
そんななか、銀座にある2016年竣工の商業施設でモダンに取り入れられていました。レトロなイメージになってしまった分、古臭く見えないように取り入れないとエレガントではない。設計者にとってはなかなかに腕の見せどころなのだろうと思います。
また、ボタンそのものが三角の場合はわざわざ上下の表示は追加されません。ボタンの形を見れば説明不要、ということなのでしょう。
とはいえ、後から案内が追加されたらしいエレボタを見たことがあります。さまざまな人が利用する駅の連絡口で、上向きの三角に点字が合わせられた1つ2役のラベルが貼られていました。おそらく現在はボタンに上下表示が描かれているタイプが一般的になり、何の表示もない三角ボタンはかえって珍しい存在になってしまったことも少なからず影響しているのではないでしょうか。
次回に続きます。
次は矢印や三角や、他にも種類がいろいろなサインの話です。